第二章

秋はいつもあっという間で、今日なんてすっかり冬。
毎朝、押入れを開けては何を着ようか迷う毎日。
これまでの冬はどうしてたんだっけ？
ああ、そうか、冬を捨てたんだった。

昨年の夏は、もう沖縄に再移住しか頭になかった。
だから冬物の洋服は大量に処分したし
そうやって気持ちを分散させないようにもしていたんだ。
でもその計画はやがて綻びが広がり
結局最後は投げ出した形で自分から終わりにした。
家出して泣いてワタシの部屋に転がり込んできたくせに
留守の間に大人しく連れ戻された母に絶望し、
相棒（犬）まで連れて行かれて、もうすべてがどうでもよくなったんだった。
あの時言った ひとりにしないで という言葉は母に届かず
それから先、ひとりでやっていくことへの
決意の瞬間にしかならなかったように思えるのは
やはり月日の経過があってこそなんだろうか。

そうと決めてからは、仕事を断り、アパートの仮契約を断り、
いろいろ世話してくれていた友人に頭を下げてと
那覇市内を駆け巡り、そうして沖縄を離れ湘南に戻った。
でもここんとこ湘南で海を見ることが苦しくなっている。
いつもの飽きっぽい性格が出ているだけならいいんだけど・・・
日が短くなったこの頃は、夕方でももう真っ暗で
車で聴くラジオなんかで痛いところを揺さぶられるような曲がかかると
たまったもんじゃない。
じわじわ、じわじわ、心どころか体の感覚までもが蘇り
あちこち痛くてたまらない。
はー、どうしたらいいんだろ。